『てんごくまえデパート』を読んで(文:伊ヨ)
- 京都生涯学習カレッジ
- 6月5日
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(2025年5月7日配信ハッピーメール)

図書館で『てんごくまえデパート』(長谷川あかり著・文研出版発行)という絵本を子供に借りました。
猫のおじいさんが大往生を遂げ天に上るのですが、あの世に行く前に「てんごくまえデパート」に寄るのです。現世でやり残したことができるデパートなのですが、おじいさんは先に他界した妻にこれから再会できることに気付き、いそいそと身なりを整えたり土産を買ったりと準備を始めます。
先日、祖母が他界しました。
遺影の左隅には、哀悼の印としてリボンで作られたグレーの花があしらわれていました。
仏壇の上に並ぶ先祖代々の遺影の中に、一人、新しいグレーの花。私には、それがどうしても新規加入者の印のように見えてしまうのです。確かにご先祖さまの中では新人枠。祖父母の話に出ていたご先祖さまたちが、あの世で新参の祖母を囲んで、久しぶりの再会に手を取り合っている姿が浮かびます。
そう考えると遺影のリボンは、この世からの卒業と、あの世への帰還の印のコサージュにも見えてきます。
祖母も猫のおじいさんのように、てんごくまえデパートでいそいそとおしゃれな服でも買っているかもしれません。
大往生で、ある程度心の準備が出来ていた別れだったからこそそう思えるのかもしれませんが、リボンの花のおかげできちんと心の整理がついたのでした。
ありがとう、おばあちゃん。楽しかったね。またね。
伊ヨ
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