サンちゃんのこと (文:天生)
- 京都生涯学習カレッジ
- 7月3日
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(2025年4月9日配信ハッピーメール)

サンちゃんのこと
サンちゃんは、マッサージ師です。 よく通っていたスーパー銭湯内にある癒し処に所属していました。
若い頃から肩こりがひどい私は、定期的に体のメンテナンスが必要です。
だから、初めて行くマッサージ店ではたいてい、力の強い男性のマッサージ師をお願いします。
そしていつも通りオーダーすると、やってきたのは凄く背の高い外国人の男の人。
「えっ!大丈夫?」と半信半疑。でも、その疑惑はすぐに晴れるほど的確なツボを押さえてくれます。
それ以降、私はサンちゃんをとても気に入り、毎月指名をし続けました。
マッサージをしてもらいながら、日常の話などを話すうち、サンちゃんはブラジル人で妻や子をブラジルに残し、単身日本にやってきて、日本のマッサージやレイキなどの癒しに関する勉強をしていることがわかりました。 技術を身に付け、母国に帰ってお店をしたいと言っていました。 話が合って、座禅や瞑想、気や呼吸法などの話をした時、「次回来られた時に僕が勉強した資料をプレゼントします」と言ってくれて、約束通りいただきました。 その資料の漢字には、小さなひらがなで細かく読み仮名がつけられていて、外国人の彼が真剣に勉強された努力の跡が見て取れました。 そんな彼も帰国が決まり、「お元気でね。ありがとうございました」とお別れした時、電話番号とメールアドレスを渡しました。「また落ち着いたら連絡くださいね」 半年ほど経って、彼のことをすっかり忘れていた頃、突然、家電に電話があり、見たことのないような電話番号でしたが、恐る恐る受話器を取ると懐かしい声。 「元気ですか?僕は今ブラジルです」と地球の裏側からサンちゃんの声。 すごく嬉しかったけど、電話代めちゃめちゃ高いんちゃうの?と気を遣って、あまり長い時間は喋りませんでした。 なんだかとっても不思議な気分。地球の裏側か〜と。 それ以降、連絡は取ってないけど、思い出の中のサンちゃんには、地面に向かって叫びます「サンちゃん、元気〜?」地球を突き抜けて、どうかメッセージが届きますように。
天生 |
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