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田植え (文:平井麻起)

(2025年6月10日配信ハッピーメール)




 

うちの田んぼ仕事は、全て人力である。

夫がひとり淡々とやっている。

カラダの遣い方を、日夜研究している夫にとって、

自分のカラダを通して行為することは、面白いことなのだろうが、

農業者からみれば、夫の仕事は、尋常ならざることなのだそうだ。

 

6月4日に、今年のうちの田植えをした。

ちょうどその前のタイミングで、

板野肯三先生の稲の分けつの話をきいた。

一粒のモミから500本以上の茎が出た話で、

そこには、植物が応じてくれる、という物語があった。

その話が面白かったので、夫にも伝えた。

わたしがサラッと話した内容から、夫は閃くものがあったそうで、

今年の田植えで、その閃きを、早速、実践したのだそうだ。

 

それまでは、今の田んぼの面積では、家族が食べていくのに足りないから、

もう少し、田んぼの面積を増やさなければ、と思っていたところが、

板野先生の事例をきいて、考え方がシフトチェンジしたのだそうだ。

今の面積で、収量を増やすことが出来る可能性を、夫は確信したのだった。

非効率的なやり方が、実は、非常に効率的な道に通ずるかもしれない、

という話であり、わたしたち家族は今年、その可能性に挑戦する。

 

瀬戸内海の島より

平井麻起

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