AI クライシス !(文:倉谷 究)
- 京都生涯学習カレッジ
- 6月6日
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(2025年5月8日配信ハッピーメール)

さて、情報工学苦手のIT難民の私がどう思おうと、人類社会が生産性向上第一主義であ る限り、否応なしにAI万能時代がやって来るようだ。AIは人類がこれまでに生み出した 中で最強のテクノロジーであり、自ら決定を下したり、今まで気付かれなかった新しい考 えを生み出したりすることができる最初のテクノロジーだからだという。
しかし、これは裏を返せば、「旧式の原子爆弾は誰を攻撃するかを決められないし、新し い爆弾や新しい軍事戦略を発明することもできない。だがAIは、特定の標的を攻撃する ことを自ら決められるし、新しい爆弾や戦略、さらには新しいAIさえ発明することがで きる。」ということにはならないか。人類が機械に支配された世界を描いた映画、シュワ ちゃんのターミネーター、キアヌ・リーヴスのマトリックスシリーズなどにかぶれている いる私は、そう考えてしまう。 実際、ある有名な歴史学者によると、現にその兆候は見られているという。
近年、フェイ スブックやユーチューブやツイッター(現X)のようなソーシャルメディア企業は、自社 の戦略AIに、提供する特定の商品やサービスに抱いているユーザーの愛着(ユーザーエ ンゲージメント)を最大限に増大させるという、一見有益で単純な目標を与えた。結果的 にユーザーがソーシャルメディアで費やす時間がどんどん増え、これらの企業には多くの お金が転がり込んできた。ところが、厖大な数の人間を実験台にして試しているうちに、 各社のAIは、「憤慨や憎悪を煽るコンテンツ」が、ユーザーの「自社サービス利用に費や す時間」を増大させることを学習したのだ。もし人間の心の中にある怒りや恐れや憎しみ のスイッチを押せば、その人の注意を惹き、画面に釘付けにすることができる。そこで、 各社のAIはその種のコンテンツを意図的に、自動的に拡散し始めた。それが大きな原因 となって、今では陰謀論やフェイクニュースによる社会の混乱が増幅・蔓延し、世界中で 民主社会を蝕んでいるのだと分析する。イーロン・マスクを始めとするSNSの経営者たち は、このような結果を望んでいたわけではないのに…。はてさて、これがSF映画の如 く、AIに支配された人類が滅亡へと至る「AIクライシス」の予兆でなければいいのだが …。
脳と心と意識を探求する 瞑想人 倉谷 究 |
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