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やまとしぐさとカタカムナ形に心をのせる、日本の美しい智恵 (文:辻中公)

(2025年8月3日配信ハッピーメール)


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私たち日本人には、昔から「形を整える」という文化があります。たとえば、誰かに会ったときに頭を下げてお辞儀をする、食事の前に「いただきます」と手を合わせる、感謝や祈りをこめて拍手(かしわで)を打つ。 

こうした日常のひとつひとつの所作には、ただの動きだけではなく、心を形にのせる意味があるのです。

 

カタカムナの中には「カタチサキ(形先)」という言葉があります。これは、目に見える形がまずあり、そこから見えないもの──心、響き、祈りが生まれるという考え方。やまとしぐさも同じように、「形を整えることで、心が整い、場が整う」とお伝えしています。

たとえば、「いただきます」と手を合わせるとき。左手には「ヒフミヨイマワリテメクル」、右手には「ムナヤコト」。それぞれの音が持つ響きが、手を合わせることで「アウノスヘシレ」という調和のリズムに変わり、そして、目に見えない感謝や祈りが、目に見える形となって現れる──それが「カタチサキ」の智恵です。

 

やまとしぐさでは「語先後礼」といって、言葉を先に、礼を後にします。これは、心のこもった言葉(響き)と、頭を下げるという形(所作)が重なったときに、はじめて“和”が生まれるということ。

心が通じ合った人たちが、声をかけなくてもぴたりと動きが合うように、見えないものが合えば、見えるものも自然と合っていくのです。

だからこそ、毎朝の「いただきます」、大切な場面での「手を合わせる」、ひとつひとつの所作を丁寧に行うことで、私たちは宇宙と響き合いながら生きていると言えるのかもしれません。

形が先にあって、そこに心が宿る。形を整えることで、自然と心が育ち、場が和らぎ、いのちがめぐっていく──そんな日本の智恵を、これからも大切にしていきたいです。

 

辻中公

 

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